小学校の3年生の夏、村長少年は遊び友達のR君と
「トンボ釣り」に近所の林に行った。二人が通う小学校への通学路に近い、
森というより
林の中だったが、その日は少し奥に入ってしまった。夕方になり辺りが暗くなりかけたので
「帰ろうか」と来た道を戻ろうとした。しかし、元々
道らしい道は無いような林の中で、蝶やトンボを捕まえるのに夢中でかなり
道から離れてしまったらしい。二人は直ぐに「これはやばい」と顔を見合わせた。
夏だったので「寒い」ということはなかったが、薄暗い林の中では
方向感覚が全く無くなっていた。家の方角が分からないまま道らしき道を歩いていると、日はすっかり暮れて真っ暗闇に。
二人で「おーい」とか「誰かー」などと叫んでいると遠くから
「どこだー」と声が聞こえる。泣き出しそうな
二人の迷子は声の方に向かって大声を上げる。懐中電灯の明りが見えたときは二人で顔を見合わせ、かすかに笑みがこぼれた。その捜索隊が来るまでの数分間は数時間にも感じられた。
町の消防団の男の人に連行された二人は数十人の前で頭を下げた。もちろん親からは大目玉も。ポケベルや携帯が普及し、監視カメラがあちこちにある現代では考えられないことだろうが、
昭和30年ころのド田舎では「神隠し」や「誘拐」なども考えられ、母親が町会長に訴え、そこから消防団に連絡が行き捜索隊が結成された。幸い捜索範囲が狭かったことから警察沙汰にはならずに済んだが、
普段よくいく場所でも日が暮れると迷うことを悟った。
大阪の寝屋川市で、
中学生の男女が殺害されるという事件が起きた。容疑者は逮捕されたが、なんで男女中学生が真夜中に・・と感じた村長です。
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