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雑草の詩

草野球とアメリカン・フォークが好きな「村長」です

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アユが戻った

 青森市のほぼ中心部の住宅街を流れる小さな川がある。名前は「万太郎堰(まんたろうぜき)」。川は冬季には近隣住民の雪投げ場になる。まさに生活に密着した川だ。両親が住んでいた千富町にも近いことから、村長にとっても馴染み深い川でもある。また、二人の孫たちはこの川沿いの通学路を歩いて(走って)泉川小学校に通っていた。
 その川に「清流の女王」と呼ばれるアユが群れをなして泳いでいるそうである。「6,7年前は油膜が浮く汚れた川だったが、生活排水を下水道に流すようになってからアユの姿が見られるようになった」、と住民は話す。どこかのに聞かせたい話だ。
 このニュースを見て、浅虫の海で泳いだことを思い出した。もう54年前の話だ。生まれて初めて弟と二人だけで諏訪から青森までの旅行。ほぼ一日掛かりで訪れた青森で、祖父母に連れられて浅虫に遊びに行った。水族館で魚見学をし、アミューズメントパークで乗り物に乗り、海辺では焼きホタテ、と思い切り解放感に浸っていた。
 浅虫海岸の海は岩場だらけで、前の日に泳いだ合浦公園海水浴場とは違い、とてもではないが海水浴などできる場所ではなかった。しかしあまりの海のきれいさに、二人の兄弟はパンツ一丁になって透明な海に飛び込む。広い海にたったふたりだけ。きれいな小石を投げては潜って拾い、また遠くに投げる。あの時代には、そんなきれいな海があった。
 33年前、青森に来てその浅虫の海を見て「もうあの岩場では泳げないだろうな」と、悲しい目で「遊泳禁止」の立て看板を見つめた。そんな看板を見なくてもゴミだらけの岸壁と海上を走るヨットやモーターボートを見れば、誰も泳ぐ気にはならないだろう。
 清流を汚すのは一瞬、戻すには十倍の時間が掛かる。
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